古来、詩歌や絵画など芸術の世界で、あるいは梅干や梅酒など身近な食品として、多くの日本人に親しまれ、愛され続けている梅は、日本文化に深く根付いた花であり、かつては「花」と言えば桜ではなく「梅」であったと言われています。
静岡県には、そんな梅の花の名所も数多く、その優美で気品ある姿と芳しい香りで各地に一足早い春の訪れを告げてくれています。
ここでは、静岡県おすすめの梅の花の名所をご紹介!早春は梅を愛で、奥ゆかしい日本文化の趣に触れてみませんか?
伊豆エリア
熱海梅園(熱海市)
熱海梅園は、JR伊東線・来宮駅から徒歩10分ほど、初川流域の約4.4haの斜面を敷地とし、樹齢100年を超える古木を含め約60品種、470本もの梅が折々に咲き誇る庭園です。
内務省の初代衛生局長であった長与専斎(ながよ せんさい)による、「温泉療養には適度な運動も必要」との提唱を受け、1886(明治19)年に開園したのがその始まりで、温泉保養地として栄えた熱海文化の重要な一翼を担う施設となっています。
「日本一早咲きの梅」とも言われ、毎年11月下旬~12月上旬に早咲きの梅が開花すると、その後も中咲き、遅咲きとその開花時期ごと順番に花開き、訪れる度ごとに異なる華やかな光景を披露してくれます。
【例年の見頃】1月上旬~3月上旬
【イベント】第80回熱海梅園梅まつり 2023年1月6日(土)~3月3日(日)
【問い合わせ】熱海市観光協会 TEL:0557-85-2222
修善寺梅林(伊豆市)
修善寺梅林は、伊豆箱根鉄道駿豆線・修善寺駅からバスで15分ほど、修善寺温泉の北側に位置する修善寺自然公園の一角にある梅林で、約3haの園内に樹齢100年を超える古木から若木まで、約20品種、1000本もの梅が植栽されています。
東梅林と西梅林から成る園内には、修善寺を愛した小説家・俳人の尾崎紅葉、高浜虚子らの句碑や、茶室「双皎山荘」などが点在し、天候に恵まれれば、東梅林の高台から梅樹超しに霊峰・富士を望むこともできます。
【例年の見頃】2月上旬~3月上旬
【問い合わせ】伊豆市観光協会修善寺支部 TEL:0558-72-2501
伊豆月ヶ瀬梅林(伊豆市)
伊豆月ヶ瀬梅林は、国道414号線沿いの月ヶ瀬温泉から北へ1.5㎞ほどのところに位置しています。
1969(昭和44)年、天城連山を一望する約6.2haの高台に4種類、約1500本の梅を植栽し、梅の実を生産するための梅林として開園しましたが、2002(平成14)年には「伊豆一番の梅公園」をテーマに、作る梅園から見せる梅園へと舵を切り、道路・駐車場の整備を進めてきました。
この梅林で収穫した梅は、梅シロップ、梅干、梅ジャムなどに加工され、販売されている他、例年6月には好みの梅を欲しいだけ収穫できる「梅狩り」体験もできるなど、現在では県内外から多くの人が訪れる人気観光スポットとなっています。
【イベント】伊豆月ヶ瀬梅林梅まつり 2024年2月23日(日)~3月17日(日)
【例年の見頃】1月下旬~3月上旬
【問い合わせ】伊豆月ヶ瀬梅組合 TEL:0558-85-0480
富士エリア
岩本山公園(富士市)
岩本山公園は、富士市西部を流れる富士川の程近く、東名と新東名高速道路に挟まれるように位置する標高193mの岩本山山頂にある公園です。
天候に恵まれれば、山麓の富士市の町並みから周囲の山々、南アルプス、駿河湾まで、雄大な眺望を見渡すことができ、富士山の絶景スポットとしても知られています。
約14haの公園内には400本近い梅が植栽された梅園があり、梅の季節に訪れれば、咲き誇る梅、遠景には富士山という日本文化を象徴するかのような絶景を堪能することができます。
【例年の見頃】2月上旬~3月上旬
【問い合わせ】富士市振興公社公園事業課 TEL:0545-55-3553
中部エリア
洞慶院(静岡市)
洞慶院は、清流として知られる藁科川沿いに走る藁科街道(国道362号線)から、藁科川の支流・久住谷川上流へ向かった先、緑の山々に囲まれた美しく豊かな自然の中に佇む寺院です。
曹洞宗の開祖・道元禅師が梅の花を好んだことに因み、歴代の住職が植え継ぎながら育ててきたという梅樹は400本に達し、その梅園は「東海屈指の梅の名所」とも呼ばれています。
毎年1月の蝋梅を皮切りに、3月上旬まで紅梅・白梅が華やかに色づき、境内を芳しい香りで包んでいます。
【例年の見頃】2月~3月上旬
【問い合わせ】洞慶院 TEL:054-278-9724
久能梅林(静岡市)
久能梅林は、駿河湾沿いを走る久能街道(国道150号線)から、久能山東照宮へ続く山下の石鳥居を潜り、1159段の石段で知られる参道を50mほど登った左手に位置しています。
約3000㎡の敷地に、白梅を中心とした約10種類、130本の梅が植栽されており、毎年多くの参拝者の目を楽しませてくれています。
また、梅林の中腹には四阿(あずまや)が設けられており、ここから駿河湾や伊豆半島の眺望を望むことができます。
【例年の見頃】2月中旬~3月上旬
【問い合わせ】久能山東照宮社務所 TEL:054-237-2438
蓮華寺池公園(藤枝市)
蓮華寺池公園は、藤枝市のほぼ中央に位置する「花・水・鳥・笑顔」をテーマとした公園で、年間を通じて多くの市民が集う憩いの場所となっています。
四季折々に花を楽しむことができ、特に藤枝市の花である藤の名所として有名ですが、園内の斜面に広がる梅園では、毎年早春に、約380本の紅白梅が満開となり、早春の訪れを告げてくれています。
【例年の見頃】1月~2月
【問い合わせ】藤枝市花と緑の課 TEL:054-643-3487
西部エリア
龍尾神社(掛川市)
龍尾神社は、掛川市の中心部、掛川城の北東(鬼門)に位置することから、その守護神として山内一豊を初めとする歴代城主から崇敬を受けてきた神社です。
境内にある約7000㎡の花庭園では、毎年約300本の枝垂れ梅が紅・ピンク・白に花開いて優美な姿を見せてくれます。
また、庭園内の遊歩道を小高い位置まで進むと、枝垂れ梅超しに「東海の名城」と謳われた掛川城天守閣を望むこともできます。
【例年の見頃】2月中旬~3月上旬
【問い合わせ】龍尾神社 TEL:0537-23-0228
豊岡梅園(磐田市)
豊岡梅園は磐田市北部、天竜浜名湖線・豊岡駅から徒歩10分ほどに位置し、約13haに及ぶ広大な斜面に、「南高」、「古城」、「改良内田」など白梅を中心とした梅樹約3000本が植栽されています。
元々は梅酒用の梅を生産することを目的としていましたが、次第に来園者が増えてきたことから、開花時期にあわせて一般公開されるようになりました。整備された遊歩道を歩けば、小高い山一面が紅白に染まる光景を楽しめ、また園内の売店では、梅干や梅シロップ、梅ジャムなどを購入することができます。
【例年の見頃】2月中旬~3月上旬
【問い合わせ】豊岡梅園 TEL:0539-62-2666
大草山昇竜しだれ梅園(浜松市)
大草山昇竜しだれ梅園は、浜松市・かんざんじ温泉のほど近く、浜名湖の絶景を望む大草山に位置しています。
長い年月をかけ、竜が雲を掴み天に昇るように仕立てられたという「昇竜しだれ梅」は他に類を見ないもので、4000㎡程の敷地に、約10種類、350本が植栽されています。
特に、咲き誇る梅の中を潜り抜ける「しだれ梅のトンネル」は圧巻の美しさです。
【例年の見頃】2月中旬~3月中旬
【問い合わせ】大草山昇竜しだれ梅園 TEL:090-5108-3605