朝霧高原の一角に位置し、富士山の全景を仰ぐことのできる絶景スポットとしても知られる田貫湖(たぬきこ)。東西1km、南北0.5km、周囲3.3kmの田貫湖湖畔では、春は桜、初夏はツツジ、秋には紅葉と、一年を通して雄大な富士山とともに美しい景色を楽しむことができます。特に4月20日頃と8月20日頃には富士山頂と太陽が重なる「ダイヤモンド富士」が拝めると人気を集めています。
今回はここ田貫湖で「E-BIKE(イーバイク)」をレンタル。富士山を間近に自分の足で、朝霧高原を周遊してきました! 爽快な高原サイクリングの様子を見どころとともに詳しくご紹介していきます。
まずはE-BIKEをレンタルしよう!
E-BIKEとはモーターによって踏む力をアシストしてくれるスポーツ電動アシスト自転車。同じ電動自転車でも、従来のママチャリ型よりも疲れにくくパワフル!年齢や体力、経験値の差もカバーしてくれるので、カップルやグループでの長距離や山越えもみんなでラクラク乗りこなせるのが特徴です。しかも1回の充電で150kmの走行が可能なのでバッテリー切れの心配も少なく、安心してサイクリングを楽しむことができるんです。
朝霧高原周辺にはE-BIKEのレンタサイクルスポットが15箇所(2021年10月時点)あり、オフロード、オンロード、中間タイプと3種のE-BIKEがスポットごとに用意されているので、周辺レジャーや用途に合わせてレンタル先を選ぶのがおすすめです。レンタル料金は90分1000円~、年齢制限は特になく身長154cm以上の方なら、誰でもレンタル可能です。
受付を済ませたら運転操作を確認しましょう。ハンドル部分にはスマートフォンもセットできるので、地図アプリなどを使用すると安心ですね。ヘルメットも必ず装着しましょう。
今回は富士宮市観光協会事務局長・佐野裕四郎さんにおすすめコースをガイドして頂きました。
それでは早速「Let’s go!」
E-BIKEは漕ぎ出しからスムーズ。スルスルと勝手にアシストされて快適快適。初心者や久しぶりの自転車という人でも意外とスムーズに乗りこなせます。
E-BIKE 朝霧高原レンタサイクル
https://fujinomiya.gr.jp/e-bike/
田貫湖をスタートして約5分。田貫湖北側に広がる「小田貫湿原(こだぬきしつげん)」に到着しました。
富士山西麓に残る唯一の湿原「小田貫湿原」
標高約680m、田貫湖から直線で約500mのところにある小田貫湿原には大小120余りの池が点在。夏から秋にかけてはアサマフウロ、ノハナショウブなどの湿生植物が63種、アオイトトンボ、コサナエなどトンボも29種が確認されているそうで、希少な植物や生物を観察できる場所として、環境省「ふるさといきものの里100選」にも選ばれています。
10月末の取材時も、トンボが気持ちよさそうに飛び回っていました。園路は一周約900m、約30分で散策できます。
続いて向かったのは、小田貫湿原から300m先にある、なんとも珍しい場所。
「洗い越し」と呼ばれるそうで、見ての通り、道路に橋はかかっておらず、山から流れる沢水が道路を横断しています。幅10mほどの川ですが、増水時は注意が必要。それでも他ではあまり見られない珍しい場所なのでぜひ立ち寄ってみてくださいね。
次に向かうは「陣馬の滝(じんばのたき)」。ここから約1.7km先です。
清らかな湧水が満ちる癒やしの滝、「陣馬の滝」
ここ陣馬の滝は源頼朝公が巻狩りの際、陣を張って馬を休めた場所として知られる滝で、毎年8月に「陣馬の滝まつり」も行われています。
富士宮市北部を流れる五斗目木川(ごとめきがわ)の起点となり、溶岩層の隙間から湧き出す水が美しい滝の姿に。水量は少なめですが富士山と天子山系の湧き水が流れ落ち、滝壺には透き通るような青々とした水が満ちています。
夏場は子どもたちの恰好の水遊び場にもなります!
滝の入り口には湧き水を持ち帰れる場所があり、バナジウムを含んだ湧水をペットボトルやタンクに入れて運ぶ人の姿もチラホラ。飲水可能ですが一度煮沸するよう看板がありましたので、飲む場合は必ず煮沸してくださいね。
次は県道414号線を北上し、ニジマスの養鱒場、猪之頭公園を横目に、国道139号へと向かいます。139号に出たら北上、「朝霧野外活動センター」の標識を右折します。
と、その先には驚きの景色が!?
富士山へと一直線! 今ならどこへでも行けそう!?
大きな富士山が目の前にそびえ、先へと続く一本道。もう富士山しか目に入らないような爽快なライディングを楽しめる、コース一番のライドスポットです。
あまりにも自分の身体と一体化し過ぎて、すっかりE-BIKEの魅力をお伝えし忘れていますが、ここはまさに感動モノ。雄大な富士山と澄んだ空気、ペダルを漕ぐ軽快なリズム、風を切る爽快なスピード感! E-BIKEは漕ぎ始めや坂道など、力が必要な時だけアシストしてくれるので、少し漕ぐだけで登り坂もスイスイ前に進んでくれます。気分は「悦」というか「恍惚」? 滑るように走る感覚と美しい景色が相まって最高に気持ちいい!
実際にE-BIKEで富士山一周の経験を持つ佐野さんが「行けそうだなと思ったら、行けたよ」と言ってくれました。確かに今なら富士山一周、行けそうな気がします!! あ~、いい景色を見ることができました。今日は富士山も顔を見せてくれているので最高のサイクリング日和ですね。
そんな余韻にどっぷり浸っていましたが、どうやら次はランチタイム! 現金なもので、ご飯と聞いたらお腹が急に空いてきました。
富士山の麓にグルメが集結!
佐野さんおすすめのランチスポット「あさぎりフードパーク」に到着。広い敷地内に展望台やドローン飛行場、オートキャンプ場やレストランのほか、「牛乳工房 朝霧乳業」「富士正酒造」「お茶工房 富士園」「菓子工房 上野製菓」「いも工房 かくたに」と地元の有名店直営ショップがあり、工房見学や体験もできます。
朝霧高原といえば牛乳やソフトクリームという印象ですが、富士山の湧き水で造る日本酒や焼酎、リキュールもおすすめ。富士山の山霧で育まれる緑茶や紅茶、地元食材と湧水で作る羊羹や大福、地元契約農家が育てたサツマイモの芋けんぴなど、どれもこれも魅力満載な店舗と商品ばかりで楽しくて堪りません。
今回のランチは地元の新鮮野菜を中心にバラエティ豊かなメニューがそろう「ビュッフェレストランふじさん」。店内からは富士山も一望できますよ。
ビュッフェコーナーには富士宮やきそばをはじめ、地元特産ニジマス、あさぎり牛乳、新鮮卵、白糸のコシヒカリなど地産地消を心がけた季節料理が40種類以上並び、ソフトクリームももちろん食べ放題。うれしいです~。
お土産も買って、お腹もいっぱいになったので、腹ごなしのサイクリングに戻りましょう。ここからは国道139号を南下して田貫湖までは約11km、30分くらいで到着します。
サイクリング、キャンプ、釣りでエンジョイ田貫湖
田貫湖は「狸沼」「田貫沼」と呼ばれていた小さな沼地を農業用水確保のため拡張した人造湖。湖面は穏やかでヘラブナ釣りやキャンプをする人の姿も見られ、のどかな光景が広がります。キャンプ泊はもちろん、専用サイトでは手ぶらバーベキューもできるので、サイクリングと併せて利用するのもいいですね。
雄大な富士山を仰ぐ田貫湖・朝霧高原周遊サイクリング。標高が高く急な天候の変化や、その名の通り「霧」が発生することがあるので、その際は控えるのがベター。長い下り坂では体が冷えるので、風を通しにくい上着の着用がおすすめです。特に冬季は路面の積雪や凍結もあるので十分注意を。サイクリング中の安全は自己責任です。美しい眺めに気を取られ過ぎないよう、交通ルールを守り、楽しく安全なサイクリングをしてくださいね。