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ホームスポット名所歴史と伝説が残る、吉田町・小山城と能満寺の魅力を再発見!

歴史と伝説が残る、吉田町・小山城と能満寺の魅力を再発見!

駿河湾を目の前に臨み、東側には大井川が流れる豊かな自然に恵まれた町、吉田町。現在は特産品のレタスの畑(お米と二毛作)が広がるのどかな田園地帯ですが、戦国時代には激しい攻防が繰り広げられた戦いの舞台でした。
そこで、今回は、吉田町の象徴とも言える「小山城(こやまじょう)」とその周辺を吉田町産業課の深澤一馬さんとともに巡り、この地の歴史と観光スポットとしての魅力をご紹介します。

まずは、小山城へのアクセスから。公共交通機関でお越しの場合には、JR静岡駅、藤枝駅、島田駅それぞれからバスが出ていますので、ご都合に合わせてご利用ください。最寄りのバス停からは徒歩で5分ほどです。車でお越しの場合は、東名吉田ICから5分ほど。また、国道150号からも好アクセスで無料の駐車場も完備されています。

まずは小山城の歴史を知ろう

小山城は、鎌倉時代に関東の武将・小山七郎朝光が砦を築いたのが最初と言われています。歴史の表舞台に登場するのは、1560年の桶狭間の戦い後のこと。駿河(静岡県中部)・遠江(静岡県西部)・三河(愛知県東部)を治めていた今川義元が織田信長に敗れ、この地域は徳川氏と武田氏の激しい戦いの場となりました。二者は、大井川を境に、西を徳川家康が、東を武田信玄が領有するという協定を結びますが、武田信玄はこの協定を破って境界である大井川を渡り、遠江に進出。その足がかりとして砦を築き、1571年に城郭を備えて名付けたのが小山城の起こりです。


その後、徳川氏と武田氏の間で奪ったり奪われたりの激しい攻防を繰り返しましたが、1575年の長篠の合戦で武田氏は織田・徳川の連合軍に大敗。1582年に武田氏は小山城に火を放ち、甲州へ落ち延びたのちに滅亡。小山城は廃城となりました。

時代が下った1987年、武田氏が最初に築いたその砦の跡に、国宝犬山城を模して天守閣型の「展望台小山城」が建設されました。周辺は「能満寺山公園」として整備され、春にはお城と桜がライトアップされ多くの人が訪れる桜の名所となっています。

安倍晴明が植えたという伝説が残る樹齢1000年、能満寺のソテツ

「能満寺山公園」の駐車場を起点に、向かって右手にある「能満寺」から行ってみましょう。

小山城
趣のある佇まいの古刹「能満寺」

能満寺の本堂前には、国指定の天然記念物になっている樹齢1000年と言われるソテツがあります。高さ約6m、枝数は約90本もあり、静岡市にある「龍華寺のソテツ」、大阪にある「妙国寺のソテツ」と並び、「日本三大ソテツ」として知られています。

小山城
樹齢1000年のソテツの姿は圧巻

「能満寺のソテツ」は、陰陽師として知られる安倍晴明が植えたという伝説が残されているそうです。安倍晴明が諸国歴訪の際にこの地を訪れ、地図を作成する目的で能満寺の山門の西側に庵をつくって滞在していたのだそう。ある日、大井川を流れてきた大蛇の死骸を見つけ、人々に危害がないよう封じ込めて葬り、その上に中国から持ち帰ったソテツを1株植えたところ、まるで大蛇のように大きく成長したと言われています。

小山城
一般的なソテツはあまり枝分かれしないと言われていますが、このソテツの枝は約90本に枝分かれしています

また、小山城が廃城になったあと、巡視の際にこの地を訪れた徳川家康公がこのソテツをたいへん気に入り、駿府城の庭に移植させたという逸話も伝わっています。
このソテツは江戸時代当時でも、とても大きなソテツだったようで、大勢の人の手で掘り起こし、船に乗せて清水港へ運び、なんとか駿府城へ運び込んだそうです。ところが、それから数日後の深夜、泣くような声がソテツから聞こえてきて・・・!?そしてその声は、 翌日もその翌日も聞こえてくるので、声がする方へ近づいてみると、移植したソテツが「いのう(帰ろう)……いのう……」と泣いていたとのこと。そこで家康公は能満寺へソテツを戻し、以降、ソテツは泣くこともなく、成長していったという言い伝えが残されています。この家康公にまつわる逸話は、遠州七不思議の一つとされています。

安倍晴明にまつわる伝説、家康公にまつわるエピソード、いずれも不思議なお話ですよね。

夜桜ライトアップも施される広場

小山城
写真左が「男坂」、右が「女坂」

「能満寺」を左手に進むと、「男坂」と呼ばれる急階段と、「女坂」と呼ばれる緩やかな階段の2手に分かれます。「男坂」があまりにも急なため、後に「女坂」の階段がつくられました。「男坂」は階段のステップの幅も狭く、手すりもないため、近道ではありますが危険です。「女坂」の方がおすすめです。

小山城
お堀の跡がそのまま残されています

順路を進んでいくと、左手に大きな溝のようなものがあります。実はこれ、お掘の跡。文化財なので、手を加えずそのまま残されています。

小山城
樹形が見事な桜が植えられた広場。左奥に見える赤い橋は、恋愛成就の手助けをしてくれる橋だそう
小山城
夜桜ライトアップの様子

ソメイヨシノやシダレザクラなど、約30本の桜が植えられた広場では、気候がよい季節の早朝にはヨガ教室等が行われることもあるそう。3月下旬〜4月上旬にはライトアップが行われ、満開の桜と小山城との幻想的な共演を見ることができます。なお、年末年始にもライトアップが行われるそうです。

歴史好きをうならせる三日月掘

小山城
復元された三日月堀

さらに進んでいくと、復元された三日月堀が見えてきます。これは甲州流軍楽の築城法に基づいてつくられたもので、武田氏の特徴とも言える堀です。敵が狭い通路を通っていくしかなく、攻略しにくい形のこのお堀は歴史好きな方の見どころの一つとなっています。

小山城
武田氏が中国から学んだ独特のつくりの三重堀

「小山城」の展望台の右手をさらに進んでいくと、三日月堀を三重に施された三重堀があります。敵側からは見えないけれど、こちら側からは見えるというつくりで、ここは当時のままの形が残されています。タイムスリップしたような気持ちで、当時の戦場の様子を思い浮かべてみるのもおもしろそうです。

360度パノラマ風景が楽しめる、展望台小山城

小山城
展望台小山城

続いて「展望台小山城」の中へ入りましょう。愛知県にある犬山城天守をモデルとした模擬天守「展望台小山城」は、1987年につくられたもの。1階と2階は資料が展示されています。展示物についての詳しい説明が聞きたい場合は、受付の職員の方に聞いてみると、詳しく教えてもらえますよ。

小山城
中央の甲冑が武田信玄のもの(復元)
小山城
武田信玄(右)と嫡男・勝頼(左)の肖像画

3点の甲冑は復元されたものですが、中央の武田信玄の甲冑の重さは30kg近くあるそう。これを着て戦場を走り、刀を交える戦国武将の強靭さに驚かされますね。


また、武田信玄と嫡男・勝頼の肖像画も飾られています。武田信玄というと展示のように恰幅のいい男性を思い浮かべる方も多いと思いますが、近年では、それは違う人物のものという説も……。男性の平均身長が156.8cm程度だった当時においても、153cmと小柄だったと言われる信玄。近くに展示されている甲冑と見比べてみると、確かにこの肖像画の体格の人物が着る甲冑としては小さそうです。

小山城
戦国時代当時の地形図

戦国時代当時の地形図の模型が置いてありました。この模型を見ていると、攻め落とすのが難しそうなことが伝わってきます。当時、徳川氏と武田氏の間で、何度も奪ったり奪われたりの激しい攻防が繰り広げられていたということも納得ですね。

小山城
焼米

2階の展示室で注目したいのが「焼米(やこめ)」。この炭のような塊は、小山城に火が放たれた際、お城に残っていた備蓄米が燃えたものと言われています。歴史のロマンを感じますね。

小山城
天気がよければこの方面に富士山が見えるそう
小山城
展望台からは吉田町が一望できます。

続いてさらに上へと階段を上がり、展望台へ向かいましょう。天気がよければ富士山が見えるという展望台。ほかに駿河湾、南アルプス、伊豆半島なども見ることができます。

吉田町内を一望でき、広がる畑は吉田町特産のレタス畑。実はかつての吉田町は、大井川の氾濫に悩まされ、田んぼには適した土地ではなかったそう。整備が進んだ現在では、田んぼをつくることができ、お米とレタスの二毛作になっているそうです。

郷土資料館で昔の暮らしを見てみよう

展望台の次は、三重堀の奥にある郷土資料館へ。こちらは日曜日のみの開館で、入場無料です。

小山城
農具などが置かれ、昔の暮らしの様子がわかる
小山城
アメリカ製と書かれた昔のおもちゃ
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吉田町内の住民から寄贈されたと思われる、昔のおもちゃ
小山城
南極の石と砂

町内から寄贈された、昔の暮らしがわかるものが展示されています。教科書で見たような昔の農具、古いお金、戦後まもない頃のものと思われる昔のおもちゃ……。中には南極の石と砂も展示されていました。解説がないのが残念ですが、よく見てみるとおもしろいものがたくさん展示されているので、ぜひ足を運んでみてくださいね。

売店で吉田町の名産品のおみやげを

小山城
吉田町の特産のしらすを販売
小山城
地元企業の商品も
小山城
御城印もあります

駐車場へ戻り、売店へ。こちらでは吉田町の特産品を購入することができます。冷蔵庫には地元のしらす3店が月替わりで出店。しらすはお店によって味が違うので、お気に入りの味を探してもよさそうです。

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吉田町のPR部長・よし吉のグッズ
小山城
よし吉のマンホールカードも販売

吉田町のPR部長・よし吉のグッズも販売されています。よし吉は大井川の湧き水から誕生した水の妖精で、頭にはしらすがのった小山城を、町の花の菊を耳飾りにつけ、特産品のレタスを首に巻き、うなぎのしっぽがついています。よし吉が描かれた手ぬぐいは、お土産やプレゼントとしても喜ばれそうです。

新スポット、小山城 アンテナショップ&カフェ CHILLIN COFFEE

小山城
「小山城 アンテナショップ&カフェ CHILLIN COFFEE」

駐車場内には、2021年5月にオープンしたばかりの「小山城 アンテナショップ&カフェ CHILLIN COFFEE」があるので、休憩がてらに立ち寄っても。

トレーラーハウス型のアンテナショップになっており、吉田町内の事業者や作家が手がけるお菓子やアクセサリー、観葉植物などを販売。カフェでは、バナナジュースやレモネード、コーヒー、カフェラテ等をいただくことができます。CO2削減のため、プラスチック製品を使わないようにしており、エコカップで提供してくれます。

小山城
「バナナジュース」400円
小山城
吉田町内で店舗を持たずに活動している事業者や作家作品も販売

日曜には能満寺山公園駐車場で朝市も

小山城
日曜日に開かれる朝市の様子

こちらも日曜日朝のみのお楽しみですが、能満寺山公園の駐車場では9〜12時まで朝市が開かれ、特産品のレタスやレタスを使ったお惣菜、うなぎの串焼きなどが販売され、賑わっています(毎月第一日曜日に開催される小山城楽市ではレタスやうなぎに加え、フリーマーケットやキッチンカーの出店があります)。


郷土資料館も日曜限定の開館なので、訪れるなら日曜日の午前中がおすすめですが、静かに見学したいのなら、それ以外の曜日に訪れましょう。

能満寺山公園周辺には、特産のうなぎがいただけるお食事処や直販所もあるので、ぜひ合わせて立ち寄ってみてくださいね。

<DATA>
展望台小山城能満寺山公園
住所:榛原郡吉田町片岡2519-1
TEL:吉田町産業課 0548-33-2122/展望台小山城 0548-32-9286
※展望台小山城
・定休日:毎週月曜日
・開館時間:9:00〜16:30(入場は16:00まで)
・入場料:大人200円、小人100円
※郷土資料館は日曜日のみの開館

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