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Shizuoka
2024年3月19日火曜日
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大人もハマる!伝統技法『浜松注染そめ』で手ぬぐい作り体験

織物・染物文化が根付く町、浜松

数多くのナショナルブランドが本社を構え、日本屈指の産業都市としても名高い浜松市。高度な最新技術で注目を集めますが、実は浜松は国内約半数のシェアを占める浴衣の生産地でもあるんです。

浜松の染め物文化は明治20年代の手ぬぐい染めに始まり、大正初期に関西から浜松へ入ってきた久保米吉が、尾張町で手ぬぐいや浴衣を染めたのが「浜松注染そめ」の始まりと言われています。

浜松駅からも近い、住宅街に構える本社工場

今回は、そんな伝統を継承している二橋染工場本社(浜松市中央区常盤町)で、手ぬぐい作り体験をさせていただきました。昭和2(1927)年創業、三代続く老舗の染工場です。

静岡県知事指定の郷土工芸品に認定された『浜松注染そめ』

社長の二橋教正さん
社長の二橋教正さん

社長の二橋教正さんが、浜松の注染そめについてお話をしてくださいました。

そもそも浜松が品質の高い綿の産地として知られるようになったのは、江戸時代中期ころからだそう。広い平野と長い日照時間、さらに漁師町だったので(食用以外に)綿栽培の肥料にまわせる雑魚の水揚げもあったから。最盛期の昭和40年代には、全国の五大紡績会社のすべてが、浜松に工場を持つほどだったそう。

それに加え、染料を洗い流すのに十分な水を供給してくれる河川と、反物を乾かしてくれる強い風「遠州のからっ風」が通年吹くなど、この地には注染そめに適した環境が整っていました。

創業当時(昭和2年)、組合に登録していないところもあわせると60〜80もの染工場があり、川沿いには浴衣生地を乾かす櫓がいくつも建ち並んでいたそう。当時から続く染工場は今も5軒が残り、その技術を繋いでいます。

100年以上も受け継がれている歴史ある『注染そめ』は、静岡県知事指定の郷土工芸品にも認定されています。そしてその文化を伝えるべく、注染そめ体験の場を提供しているのが二橋染工場の二橋社長というわけなんです。

いざ、体験スタート!

注染そめの工程は、生地を巻く「地巻き」から、型から生地に柄を写し取る「板場」、染色の「紺屋・注染」、洗い流しの「水元」、乾燥の「高干し」となります。

体験では地巻きした生地に防染糊で型を写す作業からスタート。持ち方などのレクチャーを受け、軽く練習したら、いざ本番へ。

浜松注染そめ
布を折り返し重ねていきます
浜松注染そめ
なかなか均一に力が入れられません……

防染糊は、75%の粘土と餅、海藻で作られていて、一見するとセメントのよう。型をのせた生地の上から適度な量を均等に、素早く伸ばしていきます。

そうです。サッと滑るように、です。……とはいえ、職人さんでない限り、そんな簡単な作業ではありません。何度やってもどこかが厚ぼったかったり、薄くなってしまったり……。なかなか難しい作業なんです(見てるだけでわかります!)。

生地を何度も折り返しながら、型をのせては糊を塗る。この工程を繰り返し行います。この「板場」の作業が終わると、次は「紺屋」の作業へ。

防染糊で土手作り

「防染」の字の如く、この糊がついた箇所は染まりません。

浜松注染そめ
この「土手」もなかなか……太すぎてつぶしてしまったり……。

最上面につけた木屑をトントンと叩いて糊を馴染ませ、染色の準備へ。

まずは絵柄ごとに色の違う染料を流すため、防染糊で土手を作るように囲んでいきます。

気分は染め師!? 注染作業に挑戦

「富士山は何色にしようか」「花は何色にしようか」「2色でグラデーションもできますよ!」と話を弾ませながら、和気あいあいと注染の作業が進行。

浜松注染そめ
やはり富士山はグラデーションで!

注染そめは、「注」いで「染」める技法。何層にも折り重ねた生地に、やかんと呼ばれる専用容器に入った染料を注ぎ、生地の下からモーターで一気に空気を吸いながら染料を生地に吸い込ませていきます。この「やかん」も液垂れしない工夫が施され、日本らしい繊細な仕事ぶりを感じさせます。

浜松注染そめ
二刀持ちにもチャレンジ!

だいぶコツが掴めてきましたよ。二刀持ちでのグラデーションもバッチリ。

上下に色分けしたり、円を描くように色分けしたり。職人さんの丁寧なレクチャーとアドバイスで楽しさもどんどん増していきます。少しぐらい染料が土手を超えても大丈夫! 気にしない、気にしない。そして、本当に楽しすぎる!!
浜松注染そめ
余白の色にもまた迷ってしまいました……

四方の余白部分を色付け。勢い余って、ここもグラデーションで攻めちゃいました。

浜松注染そめ
配色に迷いに迷いましたが、ようやく色付け終了!

色付けが済んだら、職人さんに色止めの作業をお任せして「水元」の作業へ移動。

工場内の「川」で洗い流す

工場の中に流れる水場、通称「川」で余分な染料と防染糊を洗い流してもらいます。白地も見えてきて、出来上がりが楽しみですね〜。

浜松注染そめ
工場内を流れる「川」でジャブジャブ。仕上がりが気になります

洗い流したら、高干しで乾燥

次は「高干し」に移ります。

浜松注染そめ
高所恐怖症の人は絶対のぼれません!

天井高ーい!!!

天井に並ぶ丸太は、戦後の瓦礫の中から初代が拾ってきた物を現在も使用しているそうです。

ロープに引っ掛けた生地を丸太の上からたくし上げ、1枚ずつ干していきます。

風のある夏場なら1時間程度で乾燥。川で洗い流したり、風に吹かれることで、糸の間に空気の隙間ができて糸の寄りが戻るため、着心地が良く綿本来が持つ風合いや通気性が生まれるのが注染そめの特長です。

浜松注染そめ
できましたーー! 想像以上の仕上がりにニヤリ

想像以上の作品に感動! 体験時は乾燥機で乾かしてくれるので、その場で持ち帰りができるのもうれしいですね。完成まであと一息!

最後の仕上げ、ラッピング作業

浜松注染そめ
思わず「カワイイ……」言葉が漏れてしまうスタンプ

手ぬぐいハンカチができるまでの工程が書かれた紙に、工程ごとのスタンプを押していきます。

このスタンプがまたカワイイ。

手順に沿って、完成した手ぬぐいを折りたたみ、紙にくるんだら完成です!

手ぬぐいハンカチの完成! できました〜

浜松注染そめ
初めてにしては大満足の仕上がり! 贈り物にも♪

100年という歴史の中で開発された藍染や硫化染料など、数多くの染料の特長や色合いなど膨大なデータと色の配合を頭に蓄積し、思い通りの色に染め上げる職人たち。そんな浜松染物文化に間近で触れ、手軽に体験できる今回の手ぬぐい作り。その技術の高さと素晴らしさをぜひ体感してみてください。

<DATA>
■注染そめ・手ぬぐいづくり体験
開催日:通年(年末年始、夏季休業除く)
開催場所:静岡県浜松市中央区常盤町138-14
開催時間:9:00~10:30、10:30~12:00、13:00~14:30、14:30~16:00(1日4回)
体験料:大人5,000円/名、小学生2,500円/名
予約:浜松浜名湖ツーリズムビューロー(7日前までの要予約)※実際に一部作業をしていただきます。汚れても良い恰好でお越しください

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