車窓から雄大な富士山の姿が眺められるJR御殿場線。富士山の裾野に沿って、静岡県の沼津駅と神奈川県の国府津駅を結びます。もともと御殿場線は東海道本線の一部で、関東から箱根を越える重要な区間でした。現在のJR東海道本線丹那トンネルが開通した1914年以降御殿場線となり、2024年12月に開業90周年を迎えました。
今回は沼津駅を出発して御殿場駅まで、富士山ビューも楽しめるプチトリップコースをご紹介。ぜひ御殿場線に乗ってお出かけしてみてくださいね。
車窓からも駅のホームからも、雄大な富士山ビューを満喫できるスポット
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東海道本線の沼津駅で御殿場線に乗り換えて15分ほどで、列車は裾野駅へ。ここからは、晴れていれば車窓からも目前に迫ってくるような大きな富士山の姿を見ることができます。また、ホームから視界を遮る高い構造物がない富士岡駅では、裾野を広げる富士山が迎えてくれます。
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富士岡駅のすぐ近くには、御殿場市が選定している「富士見十二景」スポットのひとつ、「富士見台」があります。少し小高くなっている築堤は、蒸気機関車(SL)が走っていた頃の富士岡駅の跡地です。富士山の景色を堪能したら、自然が創り出した神秘の洞窟、駒門風穴(こまかどかざあな)を目指しましょう。
ぽっかりと開いた地底への入口!?住宅街にある駒門風穴に潜入
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およそ1万年前の富士山の噴火活動でできた駒門風穴(こまかどかざあな)。富士山周辺にある溶岩洞窟では最大級で、全長は本穴が243.72m、枝穴が105.89mあり、国の天然記念物に指定されています。大きく口を開いた入口から進んでいくと、途中でY字に分かれます。天井が高く広い空間の本穴は約160mまで、かがまないと進めないほど天井が低い枝穴は分岐点から約45mまで見学ができます。
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御殿場市には、建久4(1193)年に源頼朝が行った富士の巻狩りにちなんで名付けられた地名が多く残っています。「駒門」は、頼朝が愛鷹明神に奉納するための馬99頭を集め、この地に柵を作って放牧したことに由来しており、駒門風穴の中には、「頼朝窪」と名付けられた空間があります。
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駒門風穴の内部は、年間を通して13℃ほど。そのため、夏は涼しく、真冬には暖かく感じます。風穴内部には地上では見られない珍しい虫も棲息しています。
照明の設置は最小限なので、必要に応じて懐中電灯などがあると安心です。靴は滑りにくく歩きやすいスニーカーで出かけてくださいね。
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【駒門風穴】
住所:〒412-0038 静岡県御殿場市駒門69
電話:0550-87-3965
営業時間:9:00~17:00(12月〜2月は16:00)
定休:12月〜2月の毎週月曜(1月第1・2月曜、祝日は営業)、12/31
料金:大人300円、高校生・中学生200円、小学生100円、幼児無料
駐車場:あり
詳細ページ:https://hellonavi.jp/detail/page/detail/1550
縁結びと厄切りのパワースポット、神場山神社へお参りして運気アップ!
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目の前に迫る富士山に導かれるように、御殿場線沿線から少し離れて、神場地区まで歩きます。平安時代中期の創建と伝わる神場山(じんばやま)神社は、知る人ぞ知るパワースポット。縁結びや厄切りのご利益を願って、遠方からも参拝客が訪れます。御祭神は、山の神様「大山祇命(おおやまつみのみこと)」と富士山の神様「木花開耶姫命(このはなさくやひめ)」です。
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昔は山で仕事をするきこりたちが、山の安寧や仕事の無事を祈念して、斧やノコギリなどを奉納していました。その後、戦に行く人の無事を祈って病気や厄を断ち切るため、はさみが奉納されるようになりました。境内には大小さまざまなはさみが祀られ、本殿には高さ3m、重さ60kgの日本一大きなはさみも祀られています。社務所では小さなはさみ型のお守りも授与しています。
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【神場山神社】
住所:〒421-0047 静岡県御殿場市神場1138-1
電話:なし
※電話やメールの問い合わせ窓口はありません。直接社務所に来訪してください。
営業時間:境内自由 社務所 9:00~16:00(毎月17日のご祈祷日は8:00〜17:00)
駐車場:あり
詳細ページ:https://gotemba.jp/information/1396/
参拝の後は、南御殿場駅へ向かいます。途中、背後に大きな富士山が見えていました。再び御殿場線に乗車し、御殿場駅を目指します。
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御殿場の富士山信仰の中心地、新橋浅間神社
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御殿場駅から徒歩5分ほどの場所にある新橋(にいはし)浅間神社。創建は平安末期と古く、「木花開耶姫命(このはなさくやひめ)」を祀った浅間神社のひとつです。富士山東表口参道宮で、毎年7月1日には富士開山式が執り行われます。かつて御殿場口から富士登山に向かう人たちは、新橋浅間神社に湧く清らかな水で禊ぎをし、山頂へ向かって行きました。新橋浅間神社では、今もなお、富士登山をする多くの人たちの安全を祈願しています。本殿には登山者の安全を祈念して奉納された、大わらじが祀られています。
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境内の湧水「木の花名水」は、地下85mから汲み上げる富士山の伏流水。バナジウムが豊富に含まれたまろやかな軟水は、お茶やコーヒーを入れたり、調理に使ったりもできます。地域住民はもとより、遠方からも多くの人がこの水を汲みに来ます。
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【新橋浅間神社】
住所:〒421-0043 静岡県御殿場市新橋2083
電話:0550-83-0604
営業時間:境内自由、社務所 平日9:00~12:00、13:00~16:30
駐車場:あり
詳細ページ:https://gotemba.jp/information/1387/
旅の締めくくりに、駅に隣接したcafe Repostでひと休み
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JR御殿場駅の箱根乙女口を出てすぐの場所にあるcafe Repostは、散策の締めくくりや電車待ちの間に、気軽に立ち寄れるカフェバー。御殿場市内の老舗店とコラボしたハムやソーセージをサンドしたコッペパンは、小腹が空いた時にぴったり。デザート系のコッペパンやワッフルも人気です。御殿場紅茶、静岡県のご当地サイダー、御殿場高原ビールなど、ソフトドリンクやアルコールも、静岡県や御殿場産を中心にラインナップ。新メニューや期間限定メニューも随時登場するので、同店のインスタグラムもチェックしてくださいね。
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【cafe Repost】
住所/〒421-0043 静岡県御殿場市新橋1940-10 御殿場市観光協会横
電話/なし
営業時間/10:00~19:00(冬季は~18:00)
定休/無休(貸切等での休業あり)
駐車場/なし
HP:https://www.gotemba.cafe
JR御殿場線おまけ情報
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JR御殿場線は他の路線に比べると勾配がきつい路線です。沼津から御殿場まではずっと上り勾配。特に、裾野駅あたりから急勾配になることは、電車に乗っていても実感できます。最大勾配は25パーミル。1000m進むと25mの高さを上ったことになります。
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御殿場線では、昭和43(1968)年まで蒸気機関車(SL)が走っていました。勾配のきつい場所ではSLは停車できないため、線路脇に平らな場所を築き、列車を引き込んで停車、発車をするスイッチバック方式のホームがつくられました。岩波駅と富士岡駅の線路脇にその跡が残り、鉄道遺産に認定されています。
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御殿場駅の富士山口を出ると、右手には蒸気機関車を展示しているポッポ広場があります。蒸気機関車はD52形。第二次世界大戦時に導入された、大きな動輪が4つもある大型貨物用で、勾配のある御殿場線も力強く走っていました。ポッポ広場では、年配の方には懐かしい鉄道唱歌を聴くこともできます。15番は御殿場駅を歌ったものです。
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今回はこんな行程で楽しんできました(2025年1月9日現在)
8:09 沼津駅発① → 8:35 富士岡駅着② → 徒歩約20分 → 駒門風穴③ → 徒歩約60分 → 神場山神社④ → 徒歩約40分 → 南御殿場駅⑤ → 14:40 南御殿場駅発⑥ → 14:43 御殿場駅着 → 徒歩約5分 → 新橋浅間神社⑦ → 徒歩約6分 → 御殿場駅 ポッポ広場⑧、cafe Repost⑨
※電車の運行ダイヤは変更になる場合があります。最新の運行情報は、ホームページ等で確認してください。
まとめ
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開業90周年を迎えたの御殿場線の電車旅で、雄大な富士山の景色を楽しみながら、沿線スポットを巡りました。風穴や神社では、信仰を通じた地域の人たちと富士山のつながりの強さも感じられます。のんびりと旅情を楽しめる御殿場線で、ぜひお出かけくださいね。