駿府の工房 匠宿は、日本最大級の伝統的工芸体験施設です。4年前にリニューアルしたことで、工房や飲食店、お土産物屋が充実しました。
そして匠宿周辺には新たにお風呂や宿泊施設ができて、「エリア全体で一日中楽しめる場所」となりました。
私たちも小学生の頃に体験した記憶のままだったので、リニューアル後の匠宿は本当に新しい場所に来たように感じました。
※この記事を書いたのは静岡県立大学学生ライターです。
匠宿で何ができるの?
匠宿では、駿河竹千筋細工・染めもの・漆・木工・陶芸・模型など様々な体験をすることができます。中でも最近人気の体験は、「お茶染め」だそうです。
お茶染めとは、お茶を作るときに商品にならない茶葉を染料として使用する今までにはない染物です。静岡県の特産品であるお茶を無駄なく形が残る染物として利用されているのが素敵です✨
また匠宿では、「不器用だから体験をするのは敷居が高い!」という方でも駿河伝統工芸品を身近に感じられる施設が他にも沢山あります。
その中のひとつ・The COFFEE ROASTERは、自家焙煎のコーヒーと共に専属パティシエールがつくるオリジナルケーキを味わえるカフェです。
ここで提供されるケーキプレートには様々な職人の技が集結しているのです!
例えばデザートプレートの装飾のドームは、駿河竹千筋細工職人の作品が用いられています。駿河竹千筋細工が使用されていることにより、単なるケーキプレートではなく芸術作品のように感じますね!

さらにコトコトSTOREでは、静岡にまつわるお土産が充実しているのも嬉しいポイントです!静岡の食材を使用した食べ物を購入できます。
そのため、静岡を訪れた観光客だけではなく、静岡から県外にお出かけする時に手土産として購入する人も多いそうです。
私は静岡市出身ですが、初めて目にするお土産が多く、つい見入ってしまいました♪

このように匠宿では施設内のあらゆる場所で伝統工芸品が用いられており、様々な角度から五感で工芸品に触れることができます。そして、体験をした人は飲食店なども訪れることにより、工芸品を自宅で使用する際のヒントを得られます。
魅力で溢れている駿府匠宿ですが、リニューアル前に体験に行って以降、訪れたことがないという人も多いと思います。広報の北川さんは、「もう一度匠宿に来て、新しくなった匠宿を感じてほしい。」とおっしゃっていました。
旬を楽しむ!HACHI&MITSUで味わう彩りランチとスイーツ
匠宿には様々なお店が点在していますが、今回は家族連れに人気のHACHI&MITSUにお邪魔しました。
店内に足を踏み入れると、開放的で落ち着いた空間が広がっていました。壁面にお茶染めパネルが飾られていたり、アメニティトレーに駿河竹千筋細工が使われていたりと、伝統工芸品を近くに感じながら料理を楽しむことができます。

店長の見城さんにお話を伺いました。
HACHI&MITSUの大きなポイントは季節に合わせたメニューです。「一か月ごとにスタッフで大きなテーマを決めて、それに合ったメニューを考えています。」と見城さん。
私たちがお伺いした時は、夏を楽しむことを大きなテーマにした夏野菜ランチメニューが用意されていました。

また、メニューが定着しすぎていたので、変化を出せるようにと今年の3月からは平日限定のマンスリープレートを始めたそうです。
次はこのメニューを食べに来ようというお客様の楽しみ方も広がりますね。
インスタグラムで随時発信されているのでぜひ覗いてみてください。
https://www.instagram.com/hachi_and_mitsu_
このレストランのメニューは味付けに工夫がされているそう。
「夏休み期間は小さいお子様だけに限らず、家族連れが多く、幅広い年代の方が訪れます。特にメニューを決める際、小中学生は迷子になりがちですが辛みを抑えることで万人受けできるようなメニューにしています。でも少し物足りない時は調味料コーナーがあり、自分好みの味にすることができます。」とのこと。
例えば、女性に人気のあるガパオライスは子供たちのために辛さを抑えて提供しているそう。これなら大人も子供も同じお料理を楽しめますね!

夏野菜ランチメニュー、どれも本当に彩り豊かでメニューを眺めているだけでもわくわくしてきちゃいます♪
今回、ランチメニューのまぐろとサーモンのピリ辛丼、海老とアメーラトマトの冷製青じそジェノベーゼをいただきました。
色鮮やかな見た目が食欲をそそります。マグロとサーモンがきらきら輝いている!
マグロがねっとりしていて美味しかったです!
アボカドや玉ねぎ、錦糸たまごも入っていて、味に飽きることがありません。ごはんが進みます。
そしてドリンクは丸子ミルクティーのICEをいただきました。夏にぴったりでほっと一息つけます。

青じその冷製ジェノベーゼは味がさっぱりとしていてとても食べやすかったです。
海老のプリッとした食感と甘いアメーラトマトがアクセントになっていて、あっという間に食べ終わってしまいました!
夏バテ気味の人にもおすすめです。

15:00~17:00はカフェメニューを提供しています。
2025年4月からはメニューがリニューアルし、はちみつを楽しむスイーツを3種類提供しています。
地元丸子特産のはちみつは、季節によって採密する花の種類が変わるので、ほんのりとした香りの違いを楽しみながら味わうことができるのも魅力的です。
メニューを見て私たちが気になったのがひんやりブリュレフレンチトースト。これは見城さんご自身の経験から生まれたものです。焼きたてのフレンチトーストが冷蔵庫で1時間ほど冷やされた後に、食べたことがきっかけでした。冷やすことで表面のキャラメリゼがパリッと、でも中はしっとりとしていてメニューとして出すきっかけとなりました。
ひんやりしたフレンチトーストを食べてみたい!ということで、今回は特別にカフェメニューのひんやりブリュレフレンチトーストと自家製メレンゲアイスをいただきました。

冷たいうちに味わった方が良いとのことで、出てきた瞬間に写真を撮り、はちみつをかけて、急いで口にほおばりました。
まずブリュレのざくざくっとした触感が口の中に広がります。そして、中はしっとりした味わい。口の中がとっても幸せでした。
自家製メレンゲアイスは口当たりがとても良く、カリッとしたはちみつと一緒に食べると、よりまろやかな風味を楽しむことができます。こちらも非常に美味しかったです。
また土日祝日にはモーニングも営業しています。

朝から落ち着いた空間でお食事を楽しめることで気持ちの良い一日がスタートできそうですね。
また、モーニングではコーヒーと紅茶がおかわり自由なのもお得✨
テラス席では犬も同伴可能なので散歩のついでに立ち寄ってみるのもおすすめです。
取材中も多くのご家族が訪れ、思い思いに楽しんでいました。
小さなお子さまに対するスタッフさんの対応が素敵で、子供目線にひざまずいて話を聞く様子が印象的でした。
スタッフさんの笑顔と温かい対応がご家族に人気の理由だと思います。
みなさんもぜひHACHI&MITSUに足を運んでみてください。
親子で夢中になりすぎ注意!工房 星と森
工房 星と森とは、子供が木に触れながら遊ぶことが出来る屋内施設です。0歳~12歳とその保護者が対象で、定員は15人です。ここでは、様々な知育遊具で遊べます。今回は特別に施設内を紹介してもらいました♪


上から吊るされた丸い板の上に切り株を乗せていくバランスゲームや、階段部分に音階が異なる板をはめて、階段の上から球を転がすと音楽を演奏できる仕掛けなど、様々な遊びを楽しめます。
また、ズレンガというスギとヒノキの組立型ブロックは、たくさん数があったので子供同士でおもちゃの取り合いにならずに済みそうです✨

実際、大学生の私たちも挑戦してみましたが、どの遊びも頭を使いなかなか苦戦しました…!
子供だけでなく一緒に過ごす親にとっても楽しく充実した時間になると思います。
そして、どの遊びも楽しさだけでなく、考えたり学んだりすることができる要素があり、自然と学びにつながるのが魅力です!
家族や友達と一緒に楽しめる!匠宿の伝統工芸体験
私はお茶染めミニトートに挑戦しました。
お茶染めとは本来商品にならないお茶の葉を染料として活用し、静岡の伝統工芸である駿河和染の型染という技術を応用した草木染めの一種です。
私たちが体験している隣では染め作業が行われていました。
お茶染めされたトートバックは、大きな鍋の中でお茶や鉄分を入れ、一週間ほど時間をかけてできあがっています。

私たちが体験できるのは「抜染」というチタンの糊を使って染めた部分から色を抜いていく作業です。柄はサンプルの型の中から選んだり、自分で好きな模様を筆で描いたりしてオリジナルのデザインを作ることができます。
まずはサンプルの型から。私はひまわりの絵柄を選びました。トートバックの上に固定し、へらでチタンの糊を広げていきます。

インストラクターの佐々木さんのサポートもあり、丁寧に塗っていきます。

綺麗なひまわりが浮かび上がりました!

ドライヤーで乾かしていきます。
次は右側にオリジナルのデザインを描きます!何か言葉を書いたらどうかと佐々木さんからアドバイスをいただき、Summer 2025を書こうとしましたが…。“mmer”にかなり苦戦!見てください。

楽しみながら書き上げました。みなさんもぜひ家族や友達と一緒にデザインを描いてみてください。自分だけのオリジナルトートバックが作れて良い思い出になること間違いなしです!
体験できるのはここまで。この後は工房の方で生地を蒸し、乾かす作業を行ってくれます。1週間から10日間ほどで完成です。完成したトートバックが届くまでの時間もわくわくしますね。
ちなみに完成品はこちら。

みなさんもぜひあなただけのお茶染めトートバックづくりを体験してみませんか?
繊細さと忍耐力必須?!駿河竹千筋細工
駿河竹千筋細工とは、細く削った竹ひごを組み合わせて作る静岡県の伝統的工芸品です。
様々な駿河竹千筋細工があり、私は特に人気だという風鈴の駿河竹千筋細工に挑戦しました。吊るすタイプと置くタイプの2種類があり、私は吊るす風鈴にしました🎐
風鈴は夏のイメージがありますが、鈴を外してグラスを置き、花を生けたり、LEDライトを入れてランタンとして使ったりするなど使い方を工夫することで、1年中楽しめる作品になります。
施設のいたるところで駿河竹千筋細工が取り入れられているので、実際に見てから作るものを決めるのも良さそうですね。
工房の方は、「体験を通して、現代の生活の中に工芸品を取り入れることで得られる充実感を伝えていきたい」とおっしゃっていました。


いよいよ制作開始です!
キットの中には、使用する材料と手順の説明書が入っており、インストラクターさんが一工程ごとのやり方を説明してくださいます。説明と共に絵が描かれているので、小さなお子さんでも絵をヒントに頭を使いながら楽しく作ることが出来ると思います。

まずは、木の円の穴にボンドをつけた竹ひごをさします。
竹ひごと穴の大きさがほぼ同じで、竹ひごを押し込む時に少し力がいるので、途中で指が疲れてしまいました。

そして、竹ひごをさし終わったら、さした箇所に筆でボンドを塗り、補強していきます。

説明を受けながら順調に制作が進んでいると思ったのですが、アーチ状の竹ひごを数本逆向きにさしてしまっていたことを発見…。
初めからやり直しかと思い焦りましたが、何度でも修正可能だそうで安心しました!

最後に鈴を通して、短冊を結んだら完成です🎐✨

細かい作業で手元ばかり見ているので、完成時に全体を見たときには繊細な駿河竹千筋細工が美しくて感動しました!
職人の方たちの作品はもっと複雑で細かいので、職人の器用さと忍耐力は素晴らしいと改めて感じました。また、自分で体験したことによって駿河竹千筋細工を制作目線でも見ることができるようになり、鑑賞の楽しみ方の幅が広がりました。
まとめ
約10年ぶりに匠宿を訪れてみると、子どもの頃に体験した記憶が蘇ると同時に楽しみ方のバリエーションがぐっと広がっているのを実感しました。
子どもの頃は純粋に作ることの楽しさを味わっていましたが、大人になってからはスタッフや職人さんの伝統を受け継ぐ想いや手作業の温かみに感動しました。同じ場所でも成長とともに違った感情を味わえるのが匠宿の魅力だと思います。
世代を超えて心を豊かにしてくれる駿府の工房 匠宿。子どもから大人まで、それぞれの視点で存分に満喫できる場所に、ぜひ足を運んでみてください。
【駿府の工房 匠宿】
住所 :静岡県静岡市駿河区丸子3240-1
営業時間:10:00~19:00(体験受付は18:00まで)
休館日 :月曜日(祝日の場合は翌平日休業)
電話 :054-256-1521
アクセス:JR静岡駅から車で約15分
JR安倍川駅から車で約10分
東名静岡ICから約15分/東名清水ICから約25分
無料駐車場あり



