製紙の街として栄え、富士山を間近に見ることができる富士市。東海道新幹線・東名高速道路・新東名高速道路が通り、また、市内には岳南電車が吉原駅と岳南江尾駅を結んでおり、交通の利便性が優れた街です。今回は岳南電車を利用して吉原本町駅で下車し、吉原商店街を散策するコースをご紹介します。
吉原商店街はこんなところ
かつては富士参詣の宿駅としても栄えた東海道五十三次の宿場町・吉原宿。そんな吉原宿がある通りが「吉原商店街」です。商店街には、昔ながらの商店をはじめ、若い担い手による雑貨店、飲食店などがあり、散策してみると新しい発見があるエリアです。また、トマトベースのスープに麺をつけていただくご当地グルメ「つけナポリタン」も有名。
毎月1日の午前中に開催される「吉原宿一の市」では各店からの出店や地元の新鮮野菜の販売などが並び、また毎年6月には江戸時代から続く「吉原祇園祭」が開催され、21台の山車が練り歩きます。
※「吉原宿一の市」「吉原祇園祭」は新型コロナウイルスの影響により休止のことも。開催状況は吉原商店街のホームページで確認を(2021年9月21日時点)
「岳鉄」の愛称で親しまれるローカル線「岳南電車」
富士市内を走る全長9.2kmの「岳南電車」は、レトロな雰囲気漂う駅舎と車両を持ち、「岳鉄(がくてつ)」の愛称で親しまれているローカル線です。かつては製紙工場などからの貨物輸送として「岳南鉄道」によって運営されていましたが、貨物輸送の廃止に伴い、2013年に「岳南電車」として分社化されました。
2014年には鉄道路線としては初めて「日本夜景遺産」に認定されており、夜の工場の間を走る様子は多くのファンに愛されています。土曜日を中心に夜景電車・ナイトビュープレミアムトレインを運行。静かな暗闇に浮かび上がる工場と電車のあかりは、ノスタルジックな雰囲気を楽しませてくれます。
また、2021年11月27日(土)までの毎週土曜日には、紙の街・富士市を盛り上げるイベント「岳南江尾駅 夜あかり」を開催。岳南江尾駅構内(駅前駐車場他)にカラフルな約20台の和紙行灯を展示し、夜景電車の到着にあわせて点灯します。(※写真はイメージです)
2021年8月21日(土)に、岳南富士岡駅構内に新たな観光スポット「がくてつ機関車ひろば」がオープンしました。昭和時代の古い電車が展示され、車両と一緒に写真を撮ったり、間近で見て楽しんだりすることができます。機関車の運転台に座って記念撮影ができるイベントや、当時の車両運行の秘話が聞ける運転手によるガイドイベント、ライトアップ撮影会などのイベントも開催予定です。
吉原駅、吉原本町駅では、岳南電車オリジナルグッズも販売しています(駅により取扱商品が異なります。写真は吉原駅のもの)。中でも2021年8月21日の「がくてつ機関車ひろば」オープンに合わせて新登場した岳南電車オリジナルほうじ茶「機缶茶」は、機関車がデザインされた缶に富士市特産のほうじ茶が入っており、ふたには岳南電車の社紋が入っています。「缶」と「岳南電車」の「岳」を掛け合わせた洒落がきいた商品です。同様に新登場した「機関車クリアファイル」も人気があります。
また、岳南電車オリジナルコーヒーは、昼と夜、それぞれの岳南電車をイメージしたブレンドコーヒー。「昼はすっきりとあっさりとしていて、夜は深みとコク、渋みがある味わい」と駅員さんが紹介してくれました。昼のブレンドは、QRコードを読み取ると電鈴式の踏切動画が再生されるというおまけ付きです。
「杉山フルーツ」で全国的にも有名な宝石のような生フルーツゼリーを
岳南電車吉原本町駅から徒歩7分、1950年創業の老舗果物専門店「杉山フルーツ」。こちらのオーナーであるフルーツアーティスト・杉山清さんが2005年に開発した生フルーツゼリーは、まるで果実が宝石のように美しいゼリー。多数の全国版テレビ・全国誌等で紹介され、時には長い行列ができるお店です。有名人にもファンが多く、コロナ以前は首都圏からも多くのお客さまが訪れていました。
人気の秘密は高級果物を扱う専門店ならではの目利きでセレクトした、一番おいしい時期を見極めた生フルーツを使用しているところ。富士山麓の水質検査済みのおいしい地下水をベースに、海藻を原料にした植物性のアガーという素材を使用することで、透明でぷるっとした食感に仕上げています。フルーツなしの水ゼリーもあり、こちらも人気があるとのこと。保存料・着色料・香料不使用で、すべて手づくりしています。
ミックス、メロン、ブルーベリー、キウイ、パイン、ラズベリー、パッションフルーツ、柑橘系など季節のフルーツを中心に常時15種類程度を販売しています。ゼリーで使用しないフルーツの切れ端が出るため、それを生フルーツジュースにしてミニサイズのコップで提供してくれる嬉しいおもてなしもあります。
●杉山フルーツ
所在地:静岡県富士市吉原2-4-3
TEL:0545-52-1458
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休
駐車場:あり
「Kamileon Café 58(カミレオンカフェ 58)」で紙バンドを使ったクラフト体験
紙バンド手芸とカフェのお店「Kamileon Café 58」は、富士市の紙文化と紙バンド手芸の可能性を世界に発信したいという思いからオープンしたといいます。店内には色とりどりの紙バンドが置かれ、その数と種類に圧倒されます。
紙バンドを使ったカゴやカゴバッグは時々見かけますが、実はそれ以外にも紙バンドからいろいろなものがつくれるそう。ピアスやブローチなどのアクセサリー、人形など、手芸が好きな方ならきっとワクワクするお店です。紙バンドの販売のほかに、初心者でも簡単につくることができるキット、紙バンドを使ったバッグやアクセサリー等も販売しています。
また奥にはつけナポリタンやランチ、ドリンク、スイーツなどがいただけるカフェも併設。カフェのみの利用ももちろん可能です。2時間600円でキットを使ったクラフト体験(ドリンク付き、材料・キット別途)もできます。2時間程度でできるよう、キットは途中までつくられたものも用意されており、道具もそろっています。製作過程でわからない部分があれば、スタッフさんが優しく教えてくれます。
●Kamileon Café 58(カミレオンカフェ 58)
所在地:静岡県富士市吉原4-2-2
TEL:0545-55-5811
営業時間:9:00〜18:00
定休日:水曜日
※新幹線新富士駅アスティ内1階にも紙バンドと雑貨の姉妹店あり
「Cafe Sofarii(カフェソファリ)」で牛すじ入りのつけナポリタンをいただく
古い百科事典が積まれた階段を上がっていくと、古いバーか喫茶店にタイムスリップしたかのようなアンティークでおしゃれな空間が広がります。
こちらの看板メニューは吉原商店街のご当地グルメ「つけナポリタン」。つけナポリタンは何らかのソースと、トマトソースを合わせたダブルソースに麺をつけていただく料理ですが、「Cafe Sofarii」では、牛すじをとろとろになるまで煮込んだブイヨンソースを合わせ、隠し味に味噌を使っています。麺はパスタと中華麺の間の食感で作られているとのこと。麺にレモンをかけるとさっぱりいただけます。
ご飯セットにすれば、シメにご飯を残ったソースの中に入れてリゾットにすることも。柚子胡椒も添えられているので、味変を楽しむことができます。酸味が少しやわらかくなっているトマトクリームソースのタイプもあります。実は東京・恵比寿でも「ライオンがいるサーカス」というお店を経営しているそうで、こちらでも「つけナポリタン」をいただくことができるそうです。
シェフはもともとイタリアンとフレンチのお店での修行経験があり、夜はイタリアンダイナーを営業。ピザやパスタメニューが人気ですが、シェフのイチ押しは、ランチタイムにもいただくことができる「Sofarii特製スープカレー」。実はスープカレー店での修行経験もあり、スープカレーにも自信があるそうです。利用客の9割は「つけナポリタン」をいただくそうですが、ぜひ「Sofarii特製スープカレー」もいただいてみてください。
●Cafe Sofarii(カフェソファリ)
所在地:静岡県富士市吉原2-3-19
TEL : 0545-51-3555
営業時間: 11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:00〜22:00(L.O.21:30)
※コロナ禍のため営業時間に変更の可能性あり
定休日:月曜
「富知六所浅間神社(ふじろくしょせんげんじんじゃ)」の新しい試みに注目!
2020年夏には「フジロクショセンゲンジンジャ夏祭り」として、DJに合わせたカラフルな社殿のライトアップを行い、SNSでも注目を集めた「富知六所浅間神社」。2021年は新型コロナウイルスの影響で、夏祭りが開催できない代わりに「七夕風鈴祭り」を実施。2000個のカラフルの風鈴が並ぶ様子を見応えがあり、多くの参拝客が風に揺られる風鈴の音を楽しんでいました(2021年9月21時点では終了)。
さまざまな新しい取り組みを行い、社殿も平成28年に改築したばかりのきれいな神社ですが、実は由緒ある神社。地元民から「三日市浅間神社」として「三日市の浅間さん」の愛称で親しまれています。富士市では唯一の別表神社として社格が高い神社で、境内には樹齢1200年以上とされる県の天然記念物に指定の大クスの御神木があり、樹上には希少なマツバランが自生しています。この木は雷が落ちて中央が割れており、この姿がある人気アニメを連想させると話題になったことも。
コロナ禍だからこそ、少しでも明るい気持ちになってもらえればとさまざまな取り組みを行っています。疫病感染除けの御神札を無料で配布する他、「花を浮かべた手水鉢」を指す「花手水」を実施。花手水はもともと水がない時に、水の代わりに花や葉を使って手を清めていたものですが、近年新型コロナウイルスが広まり、柄杓などを共有できなくなってしまった関係で、全国的に花手水が広まってきています。
結婚式場などの需要減に伴い、廃棄せざるを得ない花を花屋から奉納いただいているそうです。夏季は日持ちの関係から写真のように緑が中心ですが、時期によっては色とりどりの花で彩られ、参拝客の心を和ませてくれています。
他にも月替わりの御朱印、デザイン性の高いお守りや交通安全のステッカー、多種多様なおみくじなどを取りそろえています。また、漫画家・やくみつる氏が描いた富知六所浅間神社のイラストも飾られています。
●富知六所浅間神社
所在地:富士市浅間本町5-1
TEL:0545-52-1270
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富士山観光交流ビューロー https://www.fujisan-kkb.jp/index.html