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ホームスポット知られざる名君! 近年再評価される田沼意次ゆかりの地・牧之原市の相良城下をめぐる【前編】

知られざる名君! 近年再評価される田沼意次ゆかりの地・牧之原市の相良城下をめぐる【前編】

静岡県牧之原市には、田沼意次が遠州相良(えんしゅうさがら)藩主を務めた江戸時代中期、壮麗な相良城がありました。意次の失脚とともに破却されてしまいましたが、城址や城下町には、意次の功績を今に伝える遺構や、相良城や田沼家ゆかりの品々を保存する寺院が点在しています。城下町に残る意次の功績と面影をたどってみましょう。

江戸幕府の財政再建に邁進した田沼意次

田沼家の家紋「七曜紋」

田沼意次は格の低い家柄の出身でありながら、第9代将軍家重の側近である御側御用取次(おそばごようとりつぎ)として引き立てられ、1758年には、相良藩主となり1万石の大名となりました。10代将軍家治にも重用され、1767年に御側用人に昇格、さらに1772年には幕府最高職の老中にまで登りつめました。
江戸時代中期の1758年から約30年間は、「田沼時代」と呼ばれています。意次は幕府の財政立て直しを図り、商業の振興に力を入れました。また、関東と関西で異なっていた貨幣の統一や長崎貿易の拡充、印旛沼の新田開発や蝦夷地の調査なども行いました。意次の政策によって庶民の生活にもゆとりが生まれると、浮世絵や歌舞伎などの文化も花開き、多くの戯作や浮世絵などの出版も盛んになりました。蔦屋重三郎など、多くの版元が増えたのもこの頃です。一方で、領地の相良藩には壮麗な相良城が築かれました。

相良城の二の丸を囲む土塁の一部に残る「二の丸のマツ」に当時が偲ばれます(相良小学校グラウンド)

その後、浅間山の噴火や異常気象がもたらした冷害による天明の飢饉などで、米の価格が高騰。治安も悪化し、人々の間に不安や不満が高まると、意次の立場は危うくなります。そして、10代将軍家治の死去によって、田沼派の力は急速に弱まり、意次は失脚。家督を継いだ孫の意明は相良藩5万7千石から陸奥下村藩1万石に転封となり、相良城も取り壊されてしまい、失意のうちに意次はその生涯を閉じました。

これまで、賄賂政治というイメージがつきまとってきた意次でしたが、近年、その評価が見直されています。意次が実際に領地の相良に来たのは1回だけですが、城下町が整備され、産業を振興しました。東海道藤枝宿と相良城下を結ぶ約28kmの街道・田沼街道や、相良湊の整備により、相良藩には物資が集結しただけでなく、東西からさまざまな文化ももたらされ、相良の地は大いに発展しました。今も残る相良城の貴重な遺構のひとつに「仙台河岸」があります。海と城下をつなぐ外堀に位置する船着き場だったと考えられています。仙台藩主の伊達重村が石を寄進したと伝えられています。

江戸時代から残る貴重な石垣「仙台河岸」の一部
意次が整備した街道「田沼街道」の起点

田沼家ゆかりの品々を保存、展示している「牧之原市史料館」

城郭を模した建物の牧之原市資料館

相良城本丸跡に建つ牧之原市史料館。田沼家の家紋「七曜紋」が入ったゆかりの道具類や関連資料を収蔵、展示しています。田沼意次の生涯や実績をたどるのなら、まずは牧之原市史料館に足を運んでみましょう。入口で出迎えるのは、大江八幡宮の例祭で使われた、意次が寄進した神輿です。田沼意次の時代から続く御船(おふね)神事は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。牧之原市史料館では、2025年1月26日から「田沼意次の新時代展」及び「大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』展・静岡まきのはら」を開催します。

田沼家の刀を入れていた、漆塗りの刀だんす
田沼家の家紋、七曜紋入りの大杯

牧之原市史料館にある、相良城下を紹介するパンフレットには、現在の地図と合わせて、相良城があった頃の地図も掲載されています。昔の道や堀の位置を比較しながら歩くのも楽しいですよ。

城下町の地図を見ながら、相良城の遺構やゆかりの寺院をめぐってみましょう
【牧之原市史料館】
住所:〒421-0592 静岡県牧之原市相良275-2
電話:0548-53-2625
営業時間:9:00〜16:00
定休:月曜、祝日の翌日、年末年始
料金:大人220円、18歳未満110円、団体(30人以上)2割引
駐車場:あり
ホームページ:https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/site/makinohara-life/1583.html

田沼意次寄進の本堂が残る「平田寺(へいでんじ)」

平田寺は1283年の開創。臨済宗の禅寺

鎌倉時代に開創された平田寺は、今川氏、武田氏、徳川氏など、多くの戦国武将から崇拝されました。田沼意次は、江戸にある田沼家の菩提寺とは別に、「香華寺(こうげじ)」として平田寺に位牌を安置し、1786年に本堂を再建するなど領地の相良でも田沼家の御霊を供養できるようにしました。本堂の脇には田沼家専用の玄関が設けられ、奥の開山堂には、意次や子の意知など歴代の位牌が祀られています。意次の命日7月24日には位牌を納めている逗子の扉が開かれます。2022年には、将棋の藤井聡太七冠が王位防衛を決めた、第63期王位戦第5局が行われたことでも有名です。2025年3月22日、23日の2日間、通常非公開の秘仏「聖観音」と国宝「聖武天皇勅書」を特別公開します。

唐破風づくりで風格のある、田沼家専用の玄関
田沼意次の位牌。右隣は意次の父、意行(おきゆき)の位牌 ※特別に許可を得て逗子の扉を開けて撮影しています
禅寺らしい、質素ながら厳かな平田寺の本堂内部
【平田寺】
住所:〒421-0512 静岡県牧之原市大江459
電話:0548-52-0492
営業時間:境内自由
※2025年3月22日、23日の秘仏・国宝公開は10:00~16:00、拝観料1,000円となります。
駐車場:あり
Facebook:https://www.facebook.com/kyukouzan/

まとめ

相良城の城下町は、田沼意次や田沼家の面影が残る寺院をめぐりながら、のんびり散策するのにぴったりな静かなまちです。善政を敷いた意次の功績も点在。MAPを片手に、“ぶらり田沼の旅”を楽しんでください。

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