駿河湾に面した伊豆半島西海岸(通称・西伊豆)。急峻な山が迫り入り組んだ海岸線が続く西伊豆には景勝地が点在し、駿河湾越しの富士山の絶景も楽しめます。修善寺と西伊豆を結ぶ東海バスに乗って出かける、西伊豆プチトリップへご案内します。
西伊豆へのバスの旅は、修善寺駅からスタート


伊豆半島の各地を結ぶ路線バスを運行している東海バス。西伊豆方面へは修善寺駅を基点にすると便利です。修善寺〜松崎を結ぶ路線では、乗換なし、特急料金不要の「西伊豆特急・快速バス」も運行しています。今回は、東海バスフリーきっぷ全線2日券を購入して、堂ヶ島、土肥、修善寺をめぐります。
まずは、西伊豆らしい海の景色求めて、堂ヶ島へ向かいましょう。


堂ヶ島で楽しむ、駿河湾の眺めと奇岩がつくりだす自然のアート

波に削られたユニークな造形の奇岩が美しい景観を生み出している堂ヶ島は、西伊豆随一の景勝地です。伊豆半島ジオパークのジオサイトのひとつで、地球が創りだしたダイナミックな自然美が魅力のスポット。海底火山の活動でできた堂ヶ島海岸の白い岩肌は、火山灰が幾重にも折り重なってできた地層です。整備された遊歩道をめぐるほかにも、遊覧船に乗って海上から美しい海岸線をを堪能することができます。木々がほどよく茂り、森林浴気分で歩ける遊歩道の全長は1.5km。展望台や東屋、ベンチも随所にあり、トンボロで有名な三四郎島も見えます。


遊歩道の途中にある、ぽっかりと開いた穴は、長い年月をかけて波が削った洞窟の天井が抜け落ちてできた天窓洞。国の天然記念物です。上からのぞき込む海の色は、神秘的なブルー。天窓洞の中まで入る遊覧船も運行されています(波の状況によっては運休します)。階段や坂道が続くので、歩きやすい靴で出かけてくださいね。
【堂ヶ島遊歩道】
住所:〒410-3514 静岡県賀茂郡西伊豆町仁科堂ヶ島
電話:0558-52-1268(西伊豆町観光協会)
紹介ページ:https://www.nishiizu-kankou.com/play/dougashimapr
※東海バスフリーきっぷ優待「堂ヶ島 洞窟めぐり遊覧船100円引き」あり
海岸線を走るバスに乗って、駿河湾の景色を眺めながら次のスポットへ


堂ヶ島の次は、土肥金山まで再びバスに揺られて移動します。この区間の道路は海岸線に比較的近いため、進行方向左手に駿河湾と駿河湾越しの富士山を見ることができます。特に、富士見台バス停からは駿河湾に向かって視界が開ける場所が多いので、晴れた日の乗車は最高です。まさに、絶景を眺めながらのバス旅ができます。
黄金づくしの土肥金山で、世界一の金塊に触って、砂金採りにチャレンジ

土肥金山は、佐渡金山に次ぐ金の産出量を誇った、伊豆半島最大の金山。発掘が始まったのは1370年代と伝わり、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康も、土肥金山の開発に力を注ぎました。1625年以降は休山となりましたが、1906年、再び採掘が始まり、1965年に閉山しました。現在、坑道内は電動人形による江戸時代の採掘作業が再現された観光坑道として整備されています。


金山や金に関する資料館の黄金館の中には、ギネスブックに認定された世界一巨大な金塊が展示されています。その重さは250kg。金箔に伸ばすと、東京ドーム2.6個以上の広さにもなるそうです。ちなみに、金塊がつくられた当時は時価約4億円だったそうですが、金の価格が高騰している現在、その価格は約8倍ほどにまでなっているとか。


世界一の金塊は持ち帰れないけれど、砂金採り体験に挑戦してゲットした砂金は、おみやげにできます。砂金館では、パンニング皿という専用の器で砂の中に埋もれた砂金を探します。目指せ、一攫千金!


砂金が混ざった砂をすくい上げ、砂だけを流していくと、皿の底にきらりと光る砂金が残ります。コツは底の方から大胆に砂をすくうこと。そして、皿の上で砂を回すことぐるぐると回して、砂より重い金が皿の底に沈めること。体験時間の30分で30個以上採ると免許皆伝、名人に認定されます。砂が入っている容器に張られているのは、ほんのり温かい温泉なので、寒い季節でも快適です。

【砂金採り体験】
受付時間:9:00〜16:20 1回30分
体験料金:大人1,000円 小人(小学生以下)800円/回数券(11枚入り)大人10,000円 小人8,000円
詳細ページ:https://www.toikinzan.com/play/
土肥金山は、金箔を使った商品など、おみやげも黄金づくしです。本館にあるおみやげ処で人気No.1は金箔をあしらった「金箔カステラ」。ほかにも、小判をかたどったチョコレートの「埋蔵金小判」や金色の布地を使ったオリジナルグッズなど、ユニークな商品が揃っています。
喫茶金の砂で人気のメニューは、純金ソフトクリーム。金箔を贅沢に一枚使ったソフトクリームはSNSでも話題です。


坑道内の見学は、カートに入れたペット同伴が可能です。カートの無料貸し出しもあります。ただし、砂金館、本館のお食事処、売店は入れません。

【土肥金山】
住所:〒410-3302 静岡県伊豆市土肥2726
電話:0558-98-0800
営業時間:9:00〜17:00(入場受付最終16:30。入場+砂金採り体験は15:50)※食事処葵、喫茶金の砂は11:00〜
定休:無休(点検等による休業あり)
料金:観光坑道&黄金館共通 大人1,000円 小人(小学生以下)500円
※2025年4月1日に料金改定を予定しています。
改定後の料金 大人1200円、小人(小学生以下)600円
駐車場:あり
ホームページ:https://www.toikinzan.com/
※東海バスフリーきっぷ優待「入場料 大人100円引き、小人50円引き」あり
LOQUAT西伊豆に併設のGELATO&BAKE SANTiのジェラートでブレイクタイム

土肥金山を出て10分ほど歩けば、温泉宿が建ち並ぶ土肥の中心部。その一画にある歴史を感じる日本家屋は、江戸時代から土肥の名主として代々続いた大地主の邸宅をリノベーションしたLOQUAT(ロクアット)西伊豆です。宿泊施設やイタリアンレストラン、焼き立てパンとジェラートを販売するGELATO&BAKE SANTiで、土肥ならではのゆったりとした時間を過ごせる空間や、伊豆を味わうグルメを提供しています。


GELATO&BAKE SANTiのジェラートは常時10種類を用意。旬のフルーツや地元の特産を使った、定番と季節限定のフレーバーが並びます。テイクアウトはもちろん、店内や庭のテラス席でいただくこともできます。


店内に漂う芳醇なバターの香りに誘われて、自分へのおみやげにとパンをテイクアウトしました。外はパリッと、中はしっとり焼かれたクロワッサンやパンオショコラ、井田塩パンなど、ファンが多いパンは、お昼過ぎには売り切れてしまうこともあるほどの人気です。


【GELATO&BAKE SANTi】
施設名:GELATO&BAKE SANTi
住所:〒410-3302 静岡県伊豆市土肥365 LOQUAT西伊豆内
電話:0558-79-3170
営業時間:10:00〜16:00
定休:月・火曜日
駐車場:あり
Instagram:https://www.instagram.com/gelatoandbake_santi/
修善寺温泉に誕生したバウムクーヘン専門店「バウム工房 MatoKa(マトカ)」

修善寺温泉で立ち寄るのは、2024年12月にオープンしたバウム工房 MatoKa(マトカ)。“旅する大人のおやつ”をコンセプトに、併設の工房で丁寧に焼き上げられたバウムクーヘンを、イートイン、テイクアウト、おみやげの、それぞれのメニューで提供しています。


ナチュラルな雰囲気が落ち着くカフェでは、表面をキャラメリゼしたブリュレ風、モンブラン風、フレンチトースト風などにアレンジしたバウムクーヘンが3種類と、レアチーズケーキの、イートン専用メニューがいただけます。食べ歩きにぴったりのテイクアウトメニューは、小豆ホイップを挟んだどら焼き風の「バム焼き」が人気です。


おみやげ用にはホールのバウムクーヘンのほか、小京都と呼ばれる修善寺の情景をイメージして、竹林、梅などを表現した、3種類のカットバウムクーヘンがあります。

【バウム工房 MatoKa(マトカ)】
住所:〒410-2416 静岡県伊豆市修善寺809-1
電話:0558-79-3260
営業時間:9:30〜16:30(イートインは16:00LO)
定休:無休(メンテナンスでの臨時休業あり)
駐車場:なし
ホームページ:https://matoka.jp/
東海バスの旅をより楽しむTips 1

東海バスで伊豆半島をめぐる旅には、東海バス全線フリーきっぷを利用すると便利でお得です。有効期間内は東海バス全路線(高速乗合バス、特定施設契約バス、コミュニティバスはご利用できません。詳しくはホームページでご確認ください。)が何回でも乗り降り自由。さらに、フリーきっぷの提示で、伊豆にある約50か所の施設で割引特典が受けられます。優待が受けられる施設は、東海バスのホームページで案内しています。フリーきっぷ裏面のQRコードからもアクセスできます。
【東海バスフリーきっぷ】
販売場所:東海バスの各案内所、営業所
料金:全線2日券 大人4,900円、こども2,450円 全線3日券 大人5,600円、こども2,800円
詳細ページ:https://www.tokaibus.jp/rosen/zensenfree.html
東海バスの旅をより楽しむTips 2

「バス」をとことん楽しむなら、西伊豆町宇久須にある、東海自動車が運営する宿泊施設「ばすてい」がおすすめ。「バス」と「ステイ」を組み合わせたネーミングの「ばすてい」は、24年間路線バスとして活躍した、稀少なバスが寝室。運転席に座って運転士気分が味わえるほか、降車ボタンも押したい放題!
かつては鉄道とバスの直通乗車券も販売するバスの案内所だった宇久須“駅”には、ダイニングやキッチン、浴室、お手洗い、寝室が整備されています。バスには3つのベッドがあり、宇久須駅と合わせて最大5人まで宿泊できます。
【ばすてい】
住所:〒410-3501 静岡県賀茂郡西伊豆町宇久須249
電話:0557-36-1119(東海自動車株式会社 事業部開発課/平日9:00~17:40 ※土日祝日・年末年始はお休み)
詳細ページ:https://www.tokaibus.jp/business/bustay.html
まとめ
景色を見ながらのんびり移動ができるバスの旅。伊豆半島をめぐる東海バスに乗って、西伊豆の絶景や歴史あるスポットに、ぜひ訪れてみてください。東海バスフリーきっぷ「全線」を使って、お得で便利なバスの旅を!
今回はこんな行程で楽しんできました(2025年2月5日現在)
8:20 修善寺駅バスターミナル発① → 9:46 堂ヶ島バス停下車② → 堂ヶ島散策③ → 11:38 堂ヶ島バス停発 → 12:14 土肥金山バス停下車④ → 土肥金山⑤から徒歩約10分 → LOQUAT西伊豆⑥ → 徒歩1分 → 14:53 中浜バス停発⑦ → 15:32 修善寺インターバス停下車⑧ → 徒歩約10分 → MatoKa⑨ → 16:43 修善寺温泉バス停発⑩ → 16:50 修善寺駅バスターミナル着
※バスの運行ダイヤは変更になる場合があります。最新の運行情報は、ホームページ等で確認してください。