北には「オクシズ」と呼ばれる山々、南には駿河湾が広がり、豊かな自然が楽しめる静岡市。富士山の絶景や海沿いエリアも魅力的ですが、街の中心エリアから少し足を伸ばせば、昭和を感じるおでんの名店や、風情ある歴史スポット、人気のお茶スイーツ店などを巡ることができます。静岡駅に降り立ったらぜひ寄りたい、駅チカおすすめスポットをコース仕立てでご紹介します。
家康公ゆかりの駿府城跡地をおさんぽ「駿府城公園」
静岡駅からまず向かうのは、歩いて15分ほどの場所にある「駿府城公園」。こちらは徳川家康が大御所時代を過ごした駿府城の跡地で、現在では地元民に愛される憩いの広場となっています。残念ながら駿府城は現在残っていませんが、公園内には復元された「巽櫓(たつみやぐら)」「坤櫓(ひつじさるやぐら)」という2つの櫓(やぐら)や、茶室を携えた「紅葉山庭園(もみじやまていえん)」があり、中堀を舟で巡る「葵舟(あおいぶね)」を楽しむことができます。
優雅に舟でお堀をぐるりと一周「葵舟(あおいぶね)」
400年前、三重の堀に囲まれて築かれた駿府城。今も当時と変わらず、豊かな水をたたえた堀が残されています。その中堀を、小舟に乗ってゆったり一周できる「葵舟」。陸からとはまた違う角度から景色を楽しめるのが魅力です。乗船は東御門から。櫓(やぐら)や石垣を見上げるように、間近で見られるから迫力があります。
見どころは、家康が築城した当時、400年前に築かれた石垣(一部)。中でも舟に乗らないと見られないのが、大名や職人たちが目印のためにつけたとされる、刻印のある石。とてもリアルで、歴史好きにはたまりません! 見どころの近くに来ると、船頭さんがピタッと止まって解説してくれます。石垣を眺めながら当時に思いを馳せていると、タイムスリップしたような気分に。
桜の名所としても名高い駿府城公園。春は特に景観が美しく、石垣からお堀に迫り出すように植えられた桜は見事です。春以外にも初夏は新緑、秋は紅葉など、四季折々の風情を感じながらクルーズが楽しめます。
ちなみに静岡市の観光親善大使である春風亭昇太さんも「葵舟は乗らないと損!」と熱弁しているので、よかったらチェックしてみてくださいね。
昇太さん熱弁!駿府城公園「葵舟」の“乗らなきゃ損な話”
【葵舟】 運航ダイヤ:9:30〜16:30の間に30分間隔で運航(7〜8月は〜17:30、11〜2月は〜15:30)※雨天決行 定休日:土日祝のみ運航(イベント時特別運航もあり) 料金:通常期▶︎大人(中学生以上)1200円、子供600円 TEL:0120-152-881 ※チケット購入は当日乗り場前へ URL:https://www.sunpu-aoibune.jp/
日本庭園でお抹茶を一服「紅葉山庭園(もみじやまていえん)」
駿府城公園内にある、茶室を携えた日本庭園。大名庭園を思わせる遊び心のある庭は、里・海・山里・山をイメージした4つの庭で構成され、それぞれ静岡各地の名勝を再現しています。庭園内をのんびり歩きながら四季折々の花や景色を眺めて、駿河の美に触れてみて。
「海の庭」では、世界遺産の一つでもある「三保の松原」が再現されています。雄大な駿河湾の向こうには富士山のような築山が。池の水はきれいな安倍川の伏流水を使っているため、水面まで美しい。そのほか伊豆の城ヶ崎などをイメージした荒磯や、「山の庭」には「つたの細道」という山間の小径も。
静岡に来たらやっぱり美味しいお茶が飲みたい。紅葉山庭園内には意匠を凝らした立礼席が設けられていて、散策の途中に呈茶が受けられます。静岡で有名なのは煎茶ですが、こちらでは静岡産のお抹茶「安倍の花」もご用意。どちらかお好みで選んで。新茶のシーズンには、新茶が提供されます。
【紅葉山庭園】 住所:静岡市葵区駿府城公園1-1 営業時間:9:00〜16:30 ※立礼席は、16:00まで 定休日:月曜(祝日は営業)、年末年始 入場料:大人150円、小人50円 料金:抹茶【本山】(和菓子付)520円~、煎茶【本山・清水】(和菓子付)520円~ TEL:054-251-0016 URL:https://sumpu-castlepark.com/momijiyama/
復元された「東御門」と「巽櫓(たつみやぐら)」、「坤櫓(ひつじさるやぐら)」
駿府城が築かれた当時の木造建築物は残っていませんが、平成元年に巽櫓が、平成8年には東御門が、そして平成26年には坤櫓が復元されました。日本古来の伝統工法で建築されており、現在は資料館として公開されています。巽櫓には、家康が竹千代時代に学問を學んだとされる臨済寺の「手習の間」が復元した展示も。ちなみに駿府城の天守閣は設計図が残っておらず、研究者によって様々な説があるそう。まだまだ研究は続くため、復元はまだ先になるのだとか。
【東御門・巽櫓/坤櫓】 住所:静岡市葵区駿府城公園1-1 開館時間:9:00〜16:30 定休日:月曜(祝日は営業)、年末年始 アクセス:JR静岡駅から徒歩15分 入場料:東御門・巽櫓:大人200円、小・中学生50円 / 坤櫓:大人100円、小・中学生50円 / 駿府城公園全施設共通券(東御門・巽櫓、坤櫓、紅葉山庭園):大人360円、小・中学生120円 TEL:054-251-0016 URL:https://sumpu-castlepark.com/gomon/
ちょっぴりノスタルジックな雰囲気の「浅間通り商店街」へ
「浅間通り商店街」は、地元で「お浅間さん」と親しまれる静岡浅間神社へと続く参道にあり、毎日行列ができる手焼きのどら焼き店や老舗の静岡おでんのお店など、魅力的な個店が並んでいます。
【浅間通り商店街】 住所:静岡市葵区馬場町、宮ケ崎町 アクセス:JR静岡駅から徒歩 約20分 URL:http://www.sengendori.com/map/map.html
静岡市民のソウルフード、静岡おでんの名店「おがわ」
昭和23年に創業した、静岡に訪れた人を感動させてやまない静岡おでんのお店。もともと運送業や氷の販売をしていたそうですが、終戦後の食べるものがない時代、駄菓子屋さんになっておでんを販売するようになったのが始まり。
静岡おでんは“真っ黒”とも表現されるだし汁が特徴。おがわは創業当時から継ぎ足していて、まさに伝統の味! 今でも365日火を入れているそうですが、酒や砂糖、みりんなどは一切加えす、継ぎ足すのは牛すじと醤油のみ。なのにコクがあって、豊かな味わい。老若男女に愛されています。
おでん種は17種類ほど。先代のおばあちゃんが一つひとつ吟味して選んだそうで、原価も決して安くない。一番人気の牛すじは国産和牛。イワシとサバをすり身にした静岡名物、黒はんぺんは、静岡市に隣接する焼津市から取り寄せた肉厚なもの。じゃがいもは日本一とも言われる、北海道今金産。糸こんは結ばす、毎日手で巻いている。シンプルな料理のようで、素材を一種類ごと別々に下処理するなど、見えないところで手間暇かけて作られているから、美味しいんです!
夏はおでんとかき氷をいただくのが静岡流。こちらはまさに富士山!な、かき氷。元々氷屋だった経緯もあり、かき氷も絶品です。富士山の伏流水で作られた清らかな氷を使用し、自家製カンロやラムネをかけてあるので、味に深みがありとても爽やか。これ最高です!
昔懐かしいラムネや、ビール、かき氷、おにぎりなど。季節や好みに合わせておでんと一緒に楽しんで。
【名代静岡おでん おがわ】 住所:静岡市葵区馬場町38番地 営業時間:10:00〜18:30(ネタがなくなり次第終了) ※テイクアウト、地方発送も可 定休日:水曜 アクセス:JR静岡駅から徒歩18分 TEL:054-252-2548 URL:http://j-gourmet.jp/ogawa.html
家康への想いが込められた、総漆塗極彩色の神社「静岡浅間神社」
多くの静岡市民が初詣などに訪れ、市内に愛されている「静岡浅間神社」。家康を天下人にした神社とも言われており、裏手にある賎機(しずばた)山は「静岡」の語源になった場所でもあります。しかし市民も意外と知られていないのが「静岡浅間神社」というのはこの神社の総称だということ。実は境内内に40の神社があり、祀られている神々の数は56。静岡浅間神社と聞けば多くの人がイメージするこちらの建物は、正式には「神部(かんべ)神社」と「浅間(あさま)神社」の大拝殿(おおはいでん)なんです。実は普段目にすることが叶わない拝殿の奥には、金箔がふんだんに使われたとても煌びやかな本殿があり、神様が祀られています。
現在、静岡浅間神社波大改修の真っ只中。平成26年より20年かけて漆を塗り直しているんです。総費用はなんと45億円!
漆塗りの国宝・重要文化財建造物の都道府県別ランキング一位*1は、日光東照宮のある栃木県で、二位が静岡県。静岡県内の半分以上は静岡浅間神社に集まっているというから驚きです。どちらも家康ゆかりの地。紫外線に弱い漆を外壁部分に塗るのは相当贅沢なことですが、それでも神社を漆塗りにするのは、家康への想いが込められているからなのです。敷地内にある「神部神社」と「八千戈(やちほこ)神社」には徳川家康が神様として祀られていますが、同じ敷地内の2箇所の神社に家康公が祀られているのは、静岡浅間神社だけなのだとか。
令和15年までの間は、きれいに塗り直した箇所とそうでない箇所が、ビフォアーアフターで楽しめるので、ぜひ足を運んでみて。
※1 出展元:静岡浅間神社
【駿河国総社・冨士新宮 静岡浅間神社】 住所:静岡市葵区宮ヶ崎町102番地1 アクセス:JR静岡駅から徒歩30分 TEL:054-245-1820 URL:http://www.shizuokasengen.net/
静岡に来たらやっぱり食べたい!抹茶ジェラート「ななや 静岡店」
最後は街中のスイーツショップで一息。こちらは創業1907年の老舗茶メーカー、丸七製茶の直営店。濃さが7段階から選べるという看板商品のジェラートは、今、日本中で大ヒット。一番抹茶が濃い「NO.7」は世界一濃いと言われています。これは食べずに帰れない!抹茶を使ったチョコレートや茶葉なども売っているので、お土産探しにもおすすめです。
今回オーダーしたのは、ジェラートを3つ選べるトリプル。一番人気の世界で一番濃い抹茶ジェラート「NO.7」。右は香り豊かな「新茶」。下は、ほろ苦さがたまらない「ほうじ茶」。同じお茶のジェラートでもこんなに色が違います。話題の「NO.7」をひと口いただくと、「キター!」と叫びたくなるほど、抹茶好きにはたまらない茶葉の旨味と苦味が広がります。ねっとりとして、確かに世界一濃そうです!こうやって食べ比べするのも楽しい。
ジェラートに使う抹茶は、静岡市のお隣、藤枝市の山間地で採れた茶葉を使用しています。以前は静岡産の抹茶の知名度が低かったので、品質のいい抹茶があることを知ってもらうためにジェラートにして販売を始めたところ、瞬く間に大人気商品に。お土産に人気の抹茶チョコレートは、ベースとなるホワイトチョコレートから作っているので雑味がなく、豊かなお茶の味をダイレクトに楽しめます。そのほか、三つ星レストランや有名なホテルで飲まれている高級なボトリングティーも販売。ペットボトルのお茶とは全く異なる、花の香りやウイスキーを思わせる香ばしさを味わってみては。
【ななや 静岡店】 住所:静岡市葵区呉服町2丁目5-12 営業時間:11:00~19:00 定休日:水曜定休(祝日の場合は営業) アクセス:JR静岡駅から徒歩6分 TEL: 054-251-7783 URL:https://nanaya-matcha.com/?mode=f4&sid=20
まとめ
静岡市の美味しいもの、見どころをギュッと詰め込んだ、静岡駅周辺散策コース。静岡駅からスタートし、約1日ウオーキングしながら楽しめます。どこか懐かしく、ノスタルジーを感じる静岡市を、ぜひ歩いてみてくださいね。歩くのが大変な方はバスで行くのもおすすめですよ。